もちろんプロジェクトが夫のものでなければならない理由はまったくなく、最近では妻が仕事に就き、夫が主夫として妻のプロジェクト遂行に協力する例も出てきている。
ここで私たち夫婦のことをいえば、たまたま妻も同業者だから、それぞれにもつプロジェクトが共通のプロジェクトであった。
おかげで、お互いの義務と権利とが比較的整理しやすく、認め合うのに困難はなかった。
カウンセリングというものを体系化するために、2人で知恵を出し合っていこうということだった。
最近の若い人を見ていると、まったく職種の違う仕事をしている2人が、そのまま仕事を続け、2人が協力しながら、それぞれのプロジェクトを遂行する後者の例が増えているように感じられる。
たとえば夫はエンジニアとして仕事に打ち込み、妻は保母として幼児教育に生きがいを見出し、お互いがうまく権利・義務を認め合って、サポートしている姿がよく見られるようになった。
いずれにせよ、プロジェクトのないところに本当の意味での結婚はない。
プロジェクトのないところに成り立つ夫婦の関係とは、恋愛の域を脱していないと私は思うのである。
したがって、自分が人生において何をしたいのか、というプロジェクトがはっきりしないと、結婚に踏み切るはっきりした理由ももつことができない。
選択肢が増えたせいか、あるいは高学歴化、小家族化の中での親と子の密着などの理由で、自分の本当にしたいことをはっきりさせるのに年月がかかるせいか、モラトリアムの期間が長くなった現代の若者は、結婚の年齢も高くなる。
好きでありさえすれば、いつからでも始められる恋愛と、好きなだけでは始められない結婚との大きな違いは、このプロジェクトの有無にもある。
ところで、夫婦がお互いに補完し合い、完成させようとするプロジェクトは仕事でなければいけないということはない。
たとえば子どもを育てる、父母の面倒を見る、家を建てるという家庭内のプロジェクト、ボランティアなどの社会活動への参加もプロジェクトになり得る。
生涯教育が盛んな現代では、2人で学ぶ夫婦も珍しくない。
若いカップルの中には、できるだけ残業のない、比較的楽な仕事を選び、週末をつかって共通の趣味に情熱を傾ける人たちもいる。
それが生きがいとなり、結婚によって完成させるという意味をもっているのであれば、立派なプロジェクトとなる。
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